DESIGN NOTE

DESIGNER / URANO TAKAHIRO

July 2007

 

***
やはりここから始めることにする。といってもこれは誰に向けるものでもなく
いわば行方のない手紙といったところだ。七つの消印をもつ、小さなノートと
言ってみたところで少しも問題のない代物だ。ある日の場所から届くちいさな
メッセージと物語り。
***

純粋な青が水色であるような、そんな季節に手紙はやってきた。不思議なこと
に、それらは間隔をあけて七つの消印を持っていた。つまり間違いなくこうい
うことだ。これらはそれぞれに違った場所で書かれ、それぞれの犬のテリトリー
の中のポストに投函されたに違いない。それぞれの場所。六つの内のいくつか
の消印は雨に濡らされたか、いたずらな擦り傷でその文字をたどれない。なぜ
だか、私はひとつめの手紙が家にやってきた時からそれらをすぐに開封しなか
った。なぜだろう。結果として私は六つ全てが揃いきるまで全ての中身を開け
ることをしなかった。いや、できなかったのだ。そこには言葉として帯びづら
い、ある種の宿命的な力が存在しているように感じたからだ。そして最後の手
紙が届いてから七日目の朝に私は返事の手紙を書いた。そして全ての手紙は
七つになった。そして最後の手紙であるそれにはもちろん、そこに書くべきは
ずである宛先が存在しなかった。

***#001 消印不明 やや青味のかかったインクの錨の絵がかすれている。
封筒は白い。どこかしらその白は緑の森の中にある古いコンクリートの家を思
い出させた。そして手紙に書かれた文字は唐突として始まっていた。そうなの
だ。それはすでに始まっていたのだ。


ここの窓枠はすごくたてつけが悪いうえに、外は絶望的な雨なんだ。そうだな
絶対的な雨が存在するのだとしたら、きっとこんな雨のことを言うんだろうな。
まぁ、そのくらいすごい雨ってことなんだ。君にならわかってもらえるような
そんな気がするんだよ。僕の思い違いじゃないといいんだけれどね。そうだ、
ずいぶんと靴がすり減ってしまったようだ。いつか君と出かけてひょんな街の
うす錆びれた店で買ったやつだ。憶えているかい?そう、あれだ。何度も新し
いものに買い替えようかとも思ったんだけど、どうにも駄目みたいだ。明日の
朝、ばったりと知らない街の端のほうでくたばっちまうかもしれないって考え
ると、どうにも新しい靴に履き替えるなんてことが出来ないんだ。そもそもそ
れが僕のずっと抱えてる問題なのかもしれないけれどね。
いたずらに時間を過ごしている。ここではどうもそれが許されるみたいだ。
いや、初めから誰しもがそれを許しているのに、それを許せなかったのは僕自
身だったのだろうけど。言葉が足りないみたいだ。言葉だけじゃない。足りな
いことが多すぎるんだ。虹を見たよ。大きな輪だった。本当に七つの色がある
のかと数えてみたんだけれど、これも駄目だった。途中から目が見えなくなっ
てしまったんだ。残念なことだよ。せっかく虹に出逢えたと思ったのに。
ここでの話を少ししよう。初めての場所っていうのは意外にやさしいことに気
づいたんだ。だってそうだろ?誰一人として僕のことなんか知りもしないんだ
からさ。あたりまえさ。そんなことにいままで気がつかなかったなんてね。
ここから、そこまではどれくらいだ?タクシーならひと月はかかるだろう。
ーここから二行程読めない。インクが擦り切れたような跡があるー
少し飲み過ぎたみたいだ。よくあることさ、これこそが日常的ってやつだ。
ここはまだ、少し寒いんだ。毛布が一枚くらいあったっていい頃合いさ。もう
随分とそこから離れてきた気がするよ。僕にはもう少し考える時間と全てを見
ることが必要だと思うんだ。明日はどこにいるか分からない。まぁさっきも言っ
たみたいに明日ってのが今ここで固い血判書を持ってきて大声で「明日は来る
!!」と叫びながら親指をナイフで切ってそこから溢れる赤い判を押してくれ
るっていうなら話は別だが。なんだっけ、そうだ。場所だ。僕には場所が必要
なんだ。今はどうしようもないことなんだ、暖かく鉄鍋に入ったスープよりも
ね。そういったことだって世の中にはあるんだ。それを今は伝えたかったのか
もしれないな。もう自分で読みかえす程の元気がないな。
また。                         xxxxxxxxx
***

ひとつめの手紙はある晴れた昼下がりに、いつもの撚れたシャツを着た配達員
が水道の請求書と一緒に運んできた。そしてその請求書は私宛ではないもので
あった。
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ある昼間の出来事は突然起こった。
いつものように夢のない猫はあたりを昼に見えない月を
追いかけはしゃぎまわっていた。気がつくとあたりは
見慣れないし見かけない風景にとけ込んでいる。さて?

「僕は月を追いかけてどこにきたんだろう?」

あたりは決まって鬱蒼としていて、雰囲気が良いとは
言えない。もちろん彼は今までだって猫だから、あらゆる
場所へと独りで行ったことがある。鬱蒼な場所だって
もちろん初めてな訳ではない。でも今回のその場所は
いつもと勝手が違っていると感じた。感じたのだ。

「なにかが違う、そしておかしい」

なにが?かれはしばらくその緑の草木が黒にも見える
その場所でうずくまるように、考えた。

たしかに陽は差していない。辺りは暗い。わずかに強い
湿度を感じる。バッタがいない。ゆるい。
ゆるい?
さて、ゆるいとはどんなかんじだろう。
彼は思った、ここは不必要なものの一切を勝手な都合で
取り払ったようなゆるい場所であることを。

なにもないということは、仕切り板のない本棚みたいなもの
で、ある時には、いやそれを許すのであればなにもが自由を
手に入れるような。そんなものだ。

気がつくとそこには彼の目の前に、昼間の月が あった。

真昼の冒険。
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いつだってそうだけれど、これは旅に似ている気がする。

これとは僕そのものでもあるのだけれど、それに含まれる

あらゆる事象であり事項をふくめたもののいわば総称的な

部分。


これは有限な時間と無限の魂の旅だと思っている。

旅とはどこかにゆくことであり、どこにもいかないこと。

そう 思っている。


憂いの先の愁いの様子、場面。それが僕の欲する絵でもあり

場所かもしれないな、と。


多くの問題。問題とは個人的なことでなくまた社会的なこと

でもなく、ただ僕の中に内包された問題というべき言葉。

これらはどこにも辿り着かないだろうし、昇華されるすべも

ない。


あらゆる考えを旅という枠に当てはめて考えることが、ある種の

療養的手段になりうると信じながら、沢山の言葉を 紡ぎ

ペンをとり絵を描く。

それが雨水のような作業であっても。


 
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ある細い人がね、言ってたんです。すっごい有名な人だけれど。

「僕はね、もし声を失ったとしても唄えなくなったとしてもロックンロールを
 続けるんだ。僕は歌唄いだけれど、もし唄えなくたって僕がロックンロール
 だってことを伝えることはできるんだ」

ずっと昔から変わらずショットのダブルに沢山の缶バッチ。

ずっとずっと細い黒いパンツにエンジニアブーツ。



やっぱりね、かっこいいと思うんですよ。

僕は簡単に感化されます。でも、僕だって思います。

勝手に。

『負けねぇぞ』って。

別に勝ち負けなんてないけれど。いや、そうかな。少なくとも自分との勝負で
あることには間違いないさ。さてさて。



どうにも見えない道の先を勝手に想ってビビりだす。そりゃそうだ。
受け入れてしまえばいいとも思う。わからんもんはわからんもんさ、と。

プラネタリウム、SUNOIL、カーステレオ、街灯の下に集まる黄金虫。

金ぴかの心はね、ある部分ではずっと持っていなければいけないな、と思った。
金ぴかで鋼みたいなやつ。そりゃなかなかたいそうなもんだ。

 
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めずらしく、普段の仕事の話。
今日は土曜日なんだけれど、僕らはこれといった決まった休みをとらないから、
今日も事務所です。朝から(正確には昨日の昼間から朝三時過ぎまでの続き)
出荷の作業でした。クタクタの腰がいっぱいいっぱいだと、悲鳴をあげています。

いろいろな部分で出来るだけ経費を押さえて作品の値段を下げれるように、僕ら
自身でやらなければいけない、というかやっていることが意外に多い。

例えば値段のタグに付ける紐を切って結ぶとこから、安全ピンをつけたり、、、。
他にもタグの値段や品番、品質をパソコンでプリントアウトしたり、タグの
デザインをして、それ自体を写真サイズの紙にする為に印刷屋さんに原稿を入れたり。

なんやかんや。結構地味な仕事。

でも、大好きな部分。

デザインという仕事は表向きでなくて良いと考えています。裏方というには裏方さんに
申し訳なく(僕はです)感じるので、奥の方に居る仕事とでも言いましょうか。

そんな感じです。

デザインはだいたいにして夜中に、ひんやりとした床を音も立てずにやってくる
猫みたいなもので、突然やってきたりします。そういうものをメモにしたり書き込んだり
して、沢山のヒントの欠片を集めていきます。連動して物語りが進行していきます。
昼間だったり夜だったり、絵を突然書き出して(これは本当の意味で突然)30枚とか
40枚を立て続けに描き続けます。そしてその多くは次の日に無駄になります。ある意味
においてですが。ある意味と言うのはその一見無意味な作業がないときちんとした
まとまりにならないからでもあります。そう、まとまり。
これはなかなか大事だと思ってます。

そろそろと、次のことやその次のことも考えながら今日のことを精一杯やっていたい。
いろいろ考える。まぁ、それは性格上いつもとも言えるんだけれど。
だからこの時期は沢山読書をしたりして、自分がその世界に入り込める体作り
(たぶん頭にとっての)が多い。
自分たちのブランドだから出来る普通のモノとそうでないモノ。
う〜ん。これが難しい。でもね、それがやりたいと思ってます。

徹底的に考えること。僕にはそれしか出来ないから。

毎回ちゃんと長い時間をかけて(もちろんそれが単純に良い結果をもたらすかは別だし
時には突発的に思い浮かんだモノが良いものになることだってあるのだが)仕事に向かう
のだけれど、終わってみれば、そして次回を目指せばそこには果てない空虚な想いがある。
きっとそれは良いことなんだろうけど。

果てない先になにがあるのか。

なにがあるのか。

気になるから見に行ってみたい。すごくすごくラフな気分で。

今はそんな感じかな。

そういえば、マンガなんかも沢山読みます。読み物ならなんでも読みますが。
少なくともテレビは随分持っていないからというのもありますけれど。
すごい漫画家とかが多くてびっくりする。最近は読み物に慣れ過ぎていて
映画ですら意味を捉えられなくなっていて、それはもう話の流れにもついて
いけなくて。恐くて映画は敬遠している。もちろんたまには観ますが。

マンガや小説、もちろん映画も。なんでも。

その世界に人を引き込むのは素晴らしいと思う。ある部分ではもちろん恐さも
あるのだけれど。でも、そういう力の素敵さに魅了される。
気がついたら、刀を振っている自分がいる。羊を追いかけている自分がいる。
僕はあらゆる世界に生きていて、存在していると思う。本当の果てない世界。
渦みたいな真ん中でぐるぐるしてる。ぐるぐる慣れの中で自分もぐるぐるさせたい。
それが僕のモノに向き合う姿勢の考え方のひとつ。あくまでひとつですが。

たのしくありたい。もちろん。

でも、っていつも思うから。

この先を追いかける。



*******
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昨夜。

とある映像作品を見て、すごく感動して。

沢山のインタビューのような風景がそこにあって。



あまり、きちんとした話が僕はいつも出来ないのだけれど、
どうしてかな。きちんと向き合えばそれはできるのに。
どうもうまくいかない。たぶん読書のしすぎだったり、
たばこの煙が目に入ったからかもしれない。



沢山のインタビューに答えているその人の姿には

すごく僕の心を。僕の心を打つものがあって。

なんだろう?変な気分。

インタビュアーがマイクを向ける。
『あなたはご自分の唄が好きですか?』

彼は答える。
「意味が良く分からないんだ。君はどう?」

『聴いたことがないから分からない』

(不思議そうな顔をする)僕には悲しい顔にも見えたけど。
「なんで君はそんな質問を?」

『仕事だからです』と二度繰り返した。

「なら答えたくない」と彼。


歌唄いが僕はすごく好きだ。憧れだってある。
でも、伝えたいなにかは大きく歪まされることだってある。
悲しい出来事。

もしかしたら、ただの状況なのかもしれないけれどさ。

彼は言う。
「唄いたいから、唄うんだ。別にそれだけ」

そこには、20歳であり、30歳の子供がいた。

世間はそれだけでは済まさない。
世界は常に立場や地位を構築したがる。
そこに価値をつけたがる。
社会としての立場を確立させたがる。

WHY?

WHY?

なにが必要で、なにがいらないものなのかも自分で決められない
大きな大人が犬のお面をつけて歩いている。

ここから先になにがある。

それをこれから決めるんだ。

ゆっくりと石は転がり続ける。
体はすり減らされて小さくなるさ。
でもね。石は石なんだ。

先日背中に刻んだ文字はこうだ。

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家で飼っているやどかり君は時々ワカメなんかをはむはむ食べる。

そう、はむはむ食べるのだ。

とっても愛らしい。

素敵なやつ。

まるでここが海辺のように。

空が遠くなってしまったから、少しでも、と思って窓際へと
移した。暗い場所ではかわいそう。

やどかり君ははむはむ食べるのだ。

そう。はむはむ、はむはむ。と。

宿を地面に背中に向けて。ちいさな手をいっぱいにのばして。



あまり活発なやつではないけれど、てくてくと歩き回っているときも
ある。

くるくる。くるくる。てくてく、てくてく。



借り物の宿で生活する彼。

大きくなれば次の宿へ。

住処があるようで、ないようで。

やどかり的、宿命生活。

それは、きっと僕も同じ。

やどかり君的宿命生活者。
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時々自分の体や心はたまごの殻の中のように入れ物の容器に
包まれているように感じることがある。
ある種の自分でありながら他者であるような感覚。思考は
一人歩きを始め、ゆらゆらとあたりを徘徊する。あてもなく。
言葉は言葉を喚び合い、螺旋状に絡み合う。それはまるで
意思を持った細紐のように足に絡み付き離さない。
足は重くなり、つぶれ落ちるのをこらえながらもただそこに
佇み、うずくまるような格好で。
深い緑と灰色。それが僕の体を覆う。思考は思考を食として
さらに成長する。飲み込まれてはいけない。本能が叫び声を
あげるのだが、どこにも届かない。本能はサンドイッチの
ように深夜のクジラが食べるものだから。

どこにもいかない。

ただそこにあることを。

ただ、そこにあるように。ありつづけるために。
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目にも見えない先の完成された建物ーガウディ

目の前にあることをただひたすらに右から左へ、時には上から横へー雪かき


別にそれがどちらだって僕には構わないし、いいのだけれどね。
習慣的にそんなことを考えて立ち止まってしまう。
まぁ、言うなればただのそういうタチなのだ。
でも、片付けないと思考の先へと歩を進めることが出来ないみたいだ。
だから考える。
別にそれで進歩があるわけではないし、なにかの発見があるわけでもない。
どちらかと言えば雪かきが多い。
降ったらどかす。どける。
単純作業。
継続的発展性不足。

でも、時々雪かきの大切さを知るときもある。
雪をどかしたら、そこは平らな土地であったから。
ずっと白く包まれていたから分からなかった。
意外と平らでしかも、丈夫そうな土地でおまけに随分と単価が安かった。

大切な無発展作業で得た収穫。

雪をひと通り消えたかと思うと雪が降る。
そういうものだし、僕自身はたぶん、それを、継続的に、求めている。

今日は朝5時に起きてしまった。珍しく早く寝てしまったからかもしれない。
珍しくプライベートな話。
起きてしまったから本を読んでいた。まぁ、寝る前もだけれど。
趣味と呼ぶにはあまりにも生活の一部すぎる。でも唯一の趣味なのかもしれない。
テレビはない。それどころか音の鳴るモノと言えば冷蔵庫だけだ。
「ウーン」と、どうやら彼はいつもなかなか機嫌が悪いみたい。
渡り鳥が毎年海を越えるみたいに、めんどうな作業だから。
偏屈な電話みたいに、いつも寝れそうで寝れないから。
それらは冷蔵庫、渡り鳥、電話の仕事。

本を読む。そこには世界がある。僕は自由。でも鍵はある。そんな感じ。
入りたければ入れる世界。それが本の中。
身を浸し、溶かすだけ。アイスコーヒー。

雪かき作業はせっせと続く。
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花は命を教えてくれる存在。

ただ咲いているだけなのにね。

勝手に決めるのはこちらの話。

花には関係ないのにね。

とっても不思議な想い。

世界はすごく乱れてて、花を欲しがる。

花1














どうしてか、うまくいかないことが多い。

いや、言葉が違うな。

上手にやれないってことかな。

まぁ、それはいい。

上手にやれることが目的でもないしね。

そんなこと言うといけないかな。

花はただ咲いているのだ。

僕らは見習わなければいけない。

でも、でも、と言う。

WHY,WHY

スナフキンのように。アリスのように。

ふわふわと、そして

さらさらと。


ふわふわ




さらさら

と。


花2
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