ヒトリゴト歩き

DESIGNER / URANO TAKAHIRO

November 2008

***


その人は真っ赤で今にも履き潰れそうなBOOTSを履いていて、ピッタピタの
ブーツカットデニムで頭はカーリーヘアみたいな感じ。
鮮明にその姿に衝撃的な「格好良さ」を感じたのは今も目の奥にその姿が宿って
いるということ。自分にとっての伝説的な(あくまで個人の)出逢いがそこには
あったんだと思う。口数が多い方ではないであろうその人は洋服は語ることでは
なくて「着てみるもんだ」と僕に言った。
僕はそれまでちょっとした古着のブーツカット(例えばリーバイスのデニムの517
とかツイルの素材とかコーディロイの519なんかを自分でシルエットを直したり、
でもそれはのちに悲劇的なシルエットを生んだり)は穿いたことがあったのだけれど
基本的にはあまり好みではなかったのかもしれない。
その人が穿いているブーツカットはあまりに細くて、『僕にも穿かせて下さい』と
言ってフィッティングルームを借りた。
『一番上のボタンが・・・いやいや、ジップすら上がり切らない!』フィッティング
でもがく僕『あの〜閉まらないんで、もう一つ上のサイズってありますか?』
「ちょっと見せてみろ」とその人。「あ〜普通、普通。デニムなんて伸ばして穿くもんだよ」

『・・・!?(嘘でしょ!!伸びるって!?)』

「俺もいつも最初はそうだよ」と普通の声。

『じゃ、じゃあこれで。コレ下さい』

「おう、ありがと」

チーン(レジの音。ただしレジがあったのかは憶えていないけど)



>>>


***


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


これはある意味においては徹底的なヒトリゴトになるのだけれど。

今日はすごい寒い日で、なんとなくしっかりと「秋冬アイテム」を着るのが
楽しかったりもする。自分自身細い服が好きでずっと変わらず10年という歳月
を同じようなスタイルというか、単純に同じ格好で過ごしてきたし、きっと
しばらく長い時間同じようなままでいると想う。
僕らみたいな格好が好きだと、概ね偏見を持って言うのだがこの季節の洋服が
とても好きなんだと想う。自分にとってそういった趣向や趣味が好きなのは
何故でしょう? -みなさんにとってはどうでしょうか?何故ですか?-

10年前

僕には恩師がいて、初めて出逢ったのは今時期よりはまだ少しだけ陽の高い
季節だったと想う。まだ僕の頭はいわゆるボーズ頭スタイルで(元々はスポーツ
マンだったから自分ではそう思っていたのだけれど、周りからはどちらかと
いうとチ◯ピラ的要素の方が強かったらしい・・・)タンクトップにレディース
のA.◯.Cなんてののレザーのハーフコートという出で立ち。紐のついたレッド
ウイングの茶色のガラスレザーブーツ、パンツはなんと軍パンを自分で詰めた
スリムパンツ。
格好としてはちょっと今では考えずづらい感じかもしれません。
まだまだ仕事も駆け出しで右も左も分からなかった頃、誰にもなんにも教わらない
自分の性格(今でもなんにも変わっていないけれど)。
扉を開ける前に扉の前には真っ黒ででっかいラブラドール(このコは見た目程実は
恐くなくとても人懐っこくてかわいいんですが、初めてだったからあまりにびびった
のを今でもしっかりと憶えている)おそるおそると扉を開ける僕。
扉の先にその人はいた。とっても危険な匂いを、オーラをあからさまにまとった姿。


>>>



***


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


どんな言葉であれ、僕にとってやはり読むことと同じく書くことがとても
大切なことでもあって、それは療養にも近いものでもあるし日常の中を切り取る
という意味においても大事な部分でもあるということ。
ここに載せる為に写真なんかももっときちんとしたいけど、それらはなかなか
間に合わずに溜まってしまっている。なんともそれは情けないんだけど。
ドタバタを理由に数日ほったらかすのはやはり自分の中での消化不良にも昇華不良
にも繋がるからもっともっと書くことを自分の一部としてあれば良いと思う。

いつもなにに向けて書いている訳でもないし、なにを書くか決めてキーボードを
触るようなことはない。ただパソコンは仕事の間すぐそばにいるのだから僅かな
時間を見つけて触れさえすればいいことだと思う。

今日の夜はある人が楽しみを持ってくるという。
明日の夜は遠いお店のファミリーが出張がてら遊びに来てくれるという。

新しい場所が出来て、昨日も遠くから遊びに来てくれたヤツもいて少しずつだけど
僅かな変化を感じてもいる。事務所にこもりっきりだったのが人が来てくれること
で湧く新しい感覚やイメージ。

僕はモノに向かってなにかをイメージするよりはやはり人に向かってイメージを
植え付ける方が好きだし、全てのイメージは洋服自体からではなくて人やその後ろの
背景や音や匂いから始まる。

服はあくまで服であり、着てくれて初めてそれは『絵』となり『画』となる。
すくなくとも僕の想う、そして描く自分達のモノはそういうものであると思う。



***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


ほんの少しづつですが、お店に来てくれる人も出来てきてくれました。

昨日なんかも随分と遠くから来てくれて。

ありがとう。

今のところの今週辺りの予定です。

Garage 「EDEN」

11/19 一日空きあり
11/20 14〜19時空きあり、19時以降不可
11/21,22,23 現在空きあり

現在秋冬商品と春物のアイテム写真をご覧頂けます。
来てみたいという方はご連絡下さいね。 
詳細はINFORMATIONよりどうぞ。



***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


数冊の本、それは随分と繰り返され読み込まれた本でもいいし初めてその
表紙をめくる本でも構わないけれど、離れ孤島に持って行くものがあると
したらそういった大切な自分の一部のなにかがいいのかもしれないと想う。
願わくば、その他にわずかなチーズとドリンクがあれば最高だし気のいい
仲間と言いたいところだ。壁に掛かったギミックめいた額にハメ込められ
た絵を見ながらそう思うことだってある。随分と薄暗い部屋で入り口には
ガラスと鬱蒼とした木の枠で出来たショーケース、ピンライト、灰皿。
壁には絵に混じって沢山の剥製達とハンター達にむき出しにされた骨達。
一角には悪魔が棲んでいて、それはある社会では天使を謳った場所とも課
していて電話帳とその一角がこの部屋で一番の神聖なるものなのかもしれ
ないと思ってしまう。
どこかでサイレンの音と電話の音が聴こえる。焼けたケーキの匂いもする。
窓ガラスには夜風が音を立てている。
真っ暗な外を歩くにはオーヴァーが必要かも知れない。
錆び付いた心がどこにもいかないように、電話の音も鳴り止まない。
輝きを失った部屋でなにをみる?



***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


まぁ、タイトルについて書きたいこともあるけど書かない。
おいおい、って。
そういったのは直に話をしないと本意や内容が伝わらないことが多いから
そういったことは書きたくないと思う。
じゃそんなタイトルって・・・。さてさて。

書きたいことや載せたい写真もたまっているのだけれど、なにしろドタバタ
していてそういう訳にいかないというのはいい訳なのかもしれないですね。

今日なんて日は朝から打ち合わせで先程ちょっと手が空いたので、残っている
仕事を片付けながら店舗様にFAXを書いて(これも日常の日課なのに書けない
ことがあったりもする)在庫のチェックをして、企画の手直しをして、資源ゴミ
をまとめたり出したりして。いろいろと細々やることがあるのだ。
土曜日だからのんびりと仕事していると思わせてそんなこともない。

めぐるめく中でいろいろなことを考えられる仕事があるだけマシだろう。
「く〜だらねぇ、仕事でもしごとはしごと〜・・・ラッキーだろう」
なんて唄もあったなって今思った。正解だね。感謝。

やっと知ったポットキャスト?ってのでラジオ的なものを聴きながら仕事をすると
いうかキーボードを叩く。すごいおもしろい語りごとが沢山あるんだってのを知った。
i-potというのもいつぞやは出張用に手にしたのにまったく活用できるタイプでは
なく結局本を片手にバスや新幹線に乗るのがいつものこと。

おとといは朝方に帰ったのにそのまま本を片手に取ったら朝を迎える前に全部読んで
しまっていたり、トンチンカンチンな日々を送っている。
本や活字に触れないとそれはデザインや仕事にも影響してくる。
ペンの走るスピードは本をどれだけ読んだのかによって僕の場合は随分と違うのだ。
不思議だけど、ホントのこと。
精神的なブレや渦の中に身を投じることで、僕の手と頭は走り出すことが多いのだ。
不思議なものだけれどそういうこともあるのだ。こうやって書いていることもそう。
つまりはある本の書き出し近くと同じこと。
自己療養へのささやかな手段に過ぎないのかもしれない。
ゾウが草原に還ることを夢見て。

マインドコントロールに埋もれる日々に。




***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


今日来たお客さんとのんびり話したりとかして、その人というかそいつは
前にも来てくれてダラダラと話したりとか着てみてもらったりとか。
久しぶりの接客とかなかなか悪いもんじゃないとやっぱり想ったりする。

朝までの仕事がちょっと続いていてさすがに体力的にもフラフラで朝方に
コンビニで一本だけお酒を買って帰りながらに飲んで、あっさり寝てしまう。

ペンの走るスピードは一定を刻んだり、しっかりとその足を休めたりと、
じっと紙に向かっていてもそれらの時間がどこに向かう時間なのかは僕自身
にさえもちろんわかるものではないんだ。

ラフに時間を過ごしながら、目をシバシバしながらもなんとかやり越えてさ。

なんともね、いつだって。





***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


昨日なんて日はというか、気がついたら昨日の深夜から始めた打ち合わせは
時計をみたら朝の3時でさ、真夜中が訪れないと昼間くすぶっているエンジン
の調子が上がらないみたいな感じでね。

ぶっ続けで、あとでお礼のメールもしなくてはいけないし、その為の準備も
出来ていない訳でなんとも情けないのだけれど。

ドタバタと日常は巡るめく間に過ぎ去っていくもんだとやっぱり想う。
そん中で自分らがなんができるか?
どこまでいけんのか?
どこへ向かいたいんか?

時々はのんびりと家で気に入ったグラスを傾けて、酒に浸るものいいしね。

自分の中にくすぶるダイヤモンドとオールドファッショングラス。

氷が酒に触れて溶けていくあの感じとかさ、最高だって想うんだ。
なんもかんも溶けていって、その先にある雪景色の草原だったりとか。
足跡はくっきりと残るんだけど、せいぜい2時間か遅くとも次の春がやって
くると全部は跡形も亡く消えていくんだわ。残るのは草原だけ。景色だけ。
いつだっていつまでだってそこに俺も居たいんだけど、俺の中の俺がそれを
許してはくれないし、そんなところにいつまでも突っ立ってる暇なんて
ないんだ。

テレビでは情けない顔をしたアナウンサーがジャーナリストのフリをして
いいかげんな声を発している。どこにも真実なんて転がってないってことを
誰も教えてなんてくれないんだ。そいつを見つける旅に出ようぜ。

ほらほら、グズグズしてっとさ、明日の陽がまたこっちに来ちまうから。
嗤われるのにも慣れたし、笑うのにも慣れたよ。
だけどさ、なんにも変わらないことだって自分の手の中に掴んだものには
残ってるって信じることさ。

それがいけないのか、いいのかなんて自分のモノサシで決めちまえ。

借り物の時間の中で、ブンブンとモノサシを振り回す。

ペンを持つ反対の片手で。




***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***



赤と緑と黄と紫。

並んだ林檎。

その食卓には向かい合わせに椅子がない。

四面角の銀のテーブル、椅子は二つ。

正面合わせに椅子はない。

古びたナイフにフォークが一組。

造花の薔薇は散りばめられる。

僅かな灯りのロウソクは今その命を全うする。

音のない、静かな食卓。

やさしさにも、興味がない。

冷えたグラスはなにも満たす事はない。

架空の食卓の席に僕は独り、腰を下ろす。





***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

***


紫色の菊の花は真夜中に月明かりを受けてその花弁を染めあげる。

辺りは音も亡い静かな草原。

こんな時期には月はいつもよりも恥ずかしがらずにその確かな輪郭を
映し出して、辺りを照らし廻る。どんな日にも風の吹かない日がない
ように、廻りめく月だっていつかはきちんと顔を出すものなのだ。
小さな声で猫が啼く。乾いた空気のせいでそれはちいさいながらも
劈くような響きに似ていた。代わる代わる訪れる夜の静寂。
静寂の中に見つけ出したヒカリの結晶。

なにもなく浮かぶ雲がゆっくりと西へ向かって流れている。

夜の出来事。




***
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ