ヒトリゴト歩き

DESIGNER / URANO TAKAHIRO

タグ:ヒトリゴト

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深夜に冷えた空に向かって煙を吐き出す、真っ白く煙達は空に向かいやがて消える。

生きていることが、生かされていることがたまらなく申し訳なく想うのは小さい頃
からずっと変わらずにいて、別になんもトラウマとかあったわけじゃないけどそれは
いつも頭の隅っこどころか中心に根を張っていて、水をやってる程几帳面でもないの
に枯れることなく棲み続けている。
泥沼のような夜中に生きてきて、彼らが花を咲かせる時体中の血が大地へと向かい
僕はまるで極度の貧血を起こした患者のように、冷たいこぶしを握りしめる。
うまく言えない言葉が、消えたシャボン玉みたいにあたりを浮遊していてどうにも
ならない感情だけが容器に残るんだ。

どこかでネコの啼く声が聞こえてふと我に返る。

こんな深夜にさえ、机に向かうおかっぱ頭の可愛いオンナノコだっているのだ。
道に迷い、自分に嘆きながら懸命に糸口を探しながら彼女は働く。
街灯のない暗い夜道をあるくみたいに。
せめて自転車のライトくらいの微弱な灯火でもいいから彼女の暗闇の道を照らして
あげられたらどんなに自分の心にもヒカリが射すだろう。情けない夜空に僕は呟く。
嘆きの唄が頭を離れない。

センチメンタルなビー玉が道路の上に転がっているよ。

自分が、自分さえいなければあの羊達はこの世を去る必要がなかったのかもしれないって。
無心で今ここに辿り着き、なにが今まで出来ただろう?
迷いながらと崇高な裏切りの気持ちを抱えたまま、結局はただの流れに身を任せてきた
自業自得。ガンジスの河の流れの中に身を浸し、沐浴する勇気さえも持てない自分へ。

足音は早く、鼓動を撃つ。
ありがたいことは灯火のもとに、大切な時間を灯してくれる人々。

「この世だって棄てたもんじゃないよ」

誰かが言った。

「誰かじゃない、俺が変えるんだ」

べつの誰かが静かに言った。

僕には小さな力しか、小さな力さえあるのか分からないけれどおかっぱ頭のオンナノコを
照らせるぐらい。一生懸命自転車のペダルを漕ぐ。
どこまでも、どこまでも全速力で。

命を懸けて。



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ぼんやりと雲の向こう側にあるもののことを考える。

空をまたぐ鳥達の想いを考える。

草原で草を食む羊の群れのことを想う。

みな大きな囲いの中で生きている、生かされている。

夢見がちな少女は何を想う?

明け方にベットの上で独り電灯の下、本を読みながら。

ある時、街の角で出逢った男はこう言った。「音楽のないダンスパーティだ」

自分の力ではどうしようもないことが多過ぎて僕は頭を抱える。

明日が来ると誰が教えてくれるんだい?太陽?月?

水平線の向こう側に誰もが行きたいと願う。

橋を渡った向こう側には拓けた明るい土地があると聞く。

全ては幻想と夢想から始まる出来事。

未来なんてどこにもない。

歩いた分の軌跡が過去であるということだけが、たったひとつの確かな轍。

夕方の雨に心を躍らせて。





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昨日は突然随分久しぶりの電話を受けて街へと出掛けた。
あんまり回数を重ねて会ってる奴じゃないんだけど、昼間に電話をしてきて
「今日の夜空いてません?飯でもと思って」
まぁ、なんか話があんだろうなぁって思ったけどね。

似たような業界というか同じというかだけど、やっぱりいろいろ考えていて
相談してくれたんだろうな。そこそこの年齢で多くの人が想うこれからのこと
とか今のままでいいんかなってこと。ダラダラだらだら、お酒を少しだけ
飲みながら。

お互い顔も似てるせいか前から大して会っちゃいないんだけど、気が許せると
いうか。そういう奴ってなかなか出逢わないんだけどさ。

うれしかったのは、ちゃんとじっくりモノごと考えてるんだけど。
ビビってはいるんだけど。
「カッコ良く生きていきたい」って言ってたこと。
「自分に後悔だけはしたくない」って言ったこと。

だから、してあげられることなんてほとんど俺にはないのかもしれないけど、
応援したいと想った。

深夜には似たようなメールが随分田舎からきて、それもうれしかったな。

特にいつもなんもできないけど、声を掛けてもらえるのはすごく

すごく僕はうれしいんだ。




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自分がやらなければいけないことは

自分がやりたいこと

自分がやると決めたこと

そうじゃないと

自分が決めたルールに負けてしまうような気がするから

別に勝ち負けではないだろうけど

ただ、後悔とか「やっとけば」って想いたくないから

自分がやらなければいけないこと



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気がつけばもうやっぱりこんな時間。
もうすぐ今日が終わり、静かな明日の始まりがやってくる。
夜が冷め始めて僕の目は醒め始める。
本を開き出す少しの時間のありがたさ。

朝は10時から始めて、お昼と夕飯を二度挟み、時々はおやつ休憩もするけど
気がつくとただしっかりとそこには時間が流れていて。
確かに一日に食事の間の時間があるにせよ14時間とか15時間仕事とべったり。

でも、僕にとってはそれはありがたいことだったり。
そう想ってしまう昔から変わらない自分がいたり。

ゆっくりと静寂はおとずれる。

頭の中で古いメロディが流れ出す。




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意味のあること、ないこと。

意味のある行動、ない行動。

意味のある出来事、ない出来事。



全部全部「なにか」に繋がっていると僕は想う。



僕は野球とかが好きだから、海の向こうでプレイしているアスリート、
日本の中でプレイしているアスリートとかもちろんなんの関わりも接点も
ないのだけれど、勝手に僕は影響を受けていたりもするし。

とってもおいしいゴハンを食べれたりするとすごくうれしくなったり。

全部全部「なにか」への道なんだとつくづく感じるかな。


今日はちょっといくつかのアイテムを箱に詰めてたら腰がだいぶ痛くなった。
10年前はなんともなかったこと、やっぱり年齢には勝てないねって思った。


僕にとって誰かにとって意味のあること、ないこと。

それってなんでしょうね?

不思議なことがたくさんある。

古本以外はほとんど買わないのだけれど、久しぶりに本屋に行って二冊程
本を買った。年間で相当な量の本は読むけど恐いからあまり知らない本というか、
新しい本は読まない。ずっと同じ本を飽きもせず繰り返し読むのが好き。

でも、久しぶりに外に出たから買ってみた。

なんだか当たりかも。

珍しい。

いろんなことに影響を受けているんだって思った。

作るモノだけじゃなくて、そういうこと。



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時々はITEM紹介的なものでも。

シーズンのコレクションとは別に時々は思いついて、季節の途中で作るものもある。
写真で見るよりすごく重たいパーカーです。
個人的には革パンと合わせるのがとても気分ですね。

お店様にはこれから納品を始めていきます。
もちろんGarage EDENにも納品されます。



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年末のこと、うちが使っている運送会社のうちの担当だった人が退社した。

この人はすごく話が上手でとてもおもしろくて、いわゆる「ただの運送屋さん」
ではなかった気がする。毎日「出荷ありますか!?」と元気に夕方やってきて
いた。160%くらいの確率ですぐには帰らない。「じゃ、また明日で」とは言わ
ない。

荷物があってもなくてもまずは世間話、内容はアレコレ多岐に渡っていた。
今後やりたいこと、運送屋たるものとは、大切な荷物とは、扇風機が欲しい、
最近結婚した、子供ができた、子供が生まれた、「あれサーカスさん中から
いい匂いしますね、今日はカレーですか?」、暑いですね〜、寒いですね〜、
近所に◎◎さんていうオリンピックの選手が住んでましてね〜(その時偶然
にもその人が通る)「あ!毎度!がんばってくださいね!」などなど。

『なんでそんなんしゃべるん?』と一度聞いてみた。

「だって、僕はただ荷物を運ぶだけかもしれない。でもせっかくの巡り合わせで
この地域を担当させてもらって仕事をさせてもらえているんです。どうせなら
喜んでもらいたいし、いい気持ちで荷物を出してもらいたいんですよ」

いっつもうちだけじゃなくてきっと他でも話をしていただろうから、集配の終わる
のが遅くなって事務所に戻って残業なんですよねとも言っていた。

年末突然「実は明日で最後なんですよ、お世話になりました」って挨拶された。

仕事として次のチャレンジに彼は向かっていった。


彼のこれからに僕は期待する。



例えば荷物だってもちろんこの彼から事務所へ届いて、それから全国へと配送される。
ちょっと想像しただけでもそこには沢山の人の手が必要だし、知っている人、知らない
人の手を渡り歩く。例えばパスタに入れる人参だって種を作る人がいて、土を作る人
肥料を・・・自分達が手にした時にそこには多くの人の手を渡ってきたことになる。
「関係ない」と言えばそれまでかもしれないけどね。
ちょっと想像するととてもうれしい気持ちになるし、ありがたい気持ちになる。
素敵なことだと想う。

だから見えないところでも感謝が必要なんだと想う。


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大きな合同の展示会とかに行っていて書くのが、また遅れました。

さて。



しっかり飲んでちょっと気持ちも良くて(最後に家に着いた時にはもう逆転してましたけどね)
いろんな人と話が出来て。
僕は人見知りというと、簡単だけど初対面の人と話をするのがとても苦手でそれはいろいろと
恐かったりとかあるんだけれど、相手が話してくれる場合は大抵の場合は平気でもある。

全体的にはとても居心地が良くてラフな感じのパーティーだったから気は楽で背広の人達も
いたけれど、お酒なんかを飲んでもいるしママ達と気心が知れた人達みたいだから大きく
肩を張っている必要もなくて。

急に僕に向かって話をして下さった方がいて、その人の名刺には僕が見たこともないし、
到底関わりのあることがなさそうな肩書きが書いてあってびっくりした。けど話はすごく
楽しくていろんな勇気をもらったような気がした。

近所の美容室の方々も話しかけてきてくれてすごくうれしかったし、たのしかったな。

知らない近所でもいろんな人がいて、その人達もちょっとしたきっかけで話もできて、
一つのきっかけや輪の中心があれば、たったそれだけですごく大きな輪が出来てくるんだ
ってことを改めて思い知った。
普段から自分なりにそうは言っているんだけどそういう実際の出来事が目の前や体に触れて
起きるとそれは確かな勇気に変わるし、暖かさを知る。

いろんな職種でみなもちろん年齢も立場も違うのだけれど、「なにか」について集まったとき
そこには境界線をなくした仲間が生まれるのを感じた。


今日ママのいたお店の前を通ったら店は全部片付けられていて電気は消えていた。
すごくせつなくなったけど、きっとまた次どこかであのママに出逢えると想うし、
僕はあのパスタの味をずっとずっと忘れないと想う。

ありがとうでは足りない気持ちがずっと心に残りますように。
ずっと残りますように。


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ちょっと年始特有のドタバタが続いていましたが今日からまたしっかり書きたいと
思います!さて。

続きの話。


そうはいっても恥ずかしくないようにってちゃんとラペル付きのジャケットを羽織り
(ただしインにはパーカー、そして下は革パン・・・)出掛けました。
入り口でママに花束を渡し、呼んでくれてありがとうを伝える。

ホントの話向こうのママもスタッフも顔は憶えてくれたけど僕らの個別の名前すら
知らないハズで、なのにすごくあったかい気持ちの良い笑顔をくれてその時点で
ちょっと迷ったけど来て良かったって思った。

ママに「なんか慣れないし来るの迷ったんだ」って話したら。
『そう想ったから呼びにいったのよ。しっかり飲んで食べていってね』と言ってくれた。

飲食店でも僕らみたいな基本が洋服に携わる人間達でも他の職種でもそうだけど、
そういう心遣いが感じられることがすごくうれしいし暖かさを感じる。

ゴハンを頂いて、しっかりと飲んで。珍しくワインなんていう僕は普段飲まないお酒まで
頂いて(そんなに強い訳ではないからこの時点でかなりフラフラだったんだけど)いて。
周りではずっと司会的な人が来ている人達にインタビュー的にコメントをマイクに向かって
話していて、いよいよ終わりが近づいてきた最後くらいの時間。
僕は人前で話をしたりとかましてや見知らぬ多数の前でなんてなど緊張もするし、なんと
言っていいか分からないし、振られても逃げてたんですけど。
わざわざ司会の人も「じゃぁ、最後になりますねそこの隅でジャケット着ているあなた、
一言言いなさいって」『おいおい!』って想ったけどこういう時にみんな注目してて
『いやいや、僕なんて』ってのも白けるしみっともないし、ママに感謝をしたいって気持ちも
あったから少しだけ話をさせてもらった。ちゃんと自分の言葉で、自分の心で。

酔ってたし全部憶えてないけどこんな感じ。言いたかったこと。

「あのね、ママが作ったパスタは今まで大した長い人生送ってきたわけではないし決して
いろんなものを食べ歩いたわけでないけど、間違いなく僕が食べた世界で一番おいしい
パスタでした。その味は初めて食べた時に衝撃的だったしなにより言葉にし難い気持ちみたいな
ものを感じました。ここは特別な場所だって想ったから自分にとって特別な人や特別な人間を
連れてきたくなって何度か来ました。僕もモノを作る人間だけど素晴らしいって想ったのは
やっぱり人が生み出したモノで感動がそこに生まれるってことだと想う。
うまく言えないけど、こうやって感動を作ってくれる場に出逢えて自分はもっともっと負けたく
ないというのは変だけど、自分もこういうモノを味わってもらいたいって想いました。
勉強にもなったし、感謝しています。またいつかお店を始めるのを待っています。」

こんな感じ。



続く

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