Designer's note 2016.03.14_01

D-2013031401
 




「大好きだった真夜中」


昔と言っても数年程前のこと。

いつも寝るのは明け方かその大抵は完全な夜明けの後で陽が昇ったことを確認してから
眠るような生活だった。

なんというか、夜が怖かった。

けれど、夜が好きだった。

音のない空間に1人居ることはなにか確かな存在を知る時間でもあったのだ。

今ではすっかりと朝方になったけれど、こんな今日のような深夜の2時過ぎまでデスクに向かっていると少しだけ昔を懐かしんで切ない嬉しさに心が躍るような気持ちになったりもする。

遠い昔のような最近の出来事

隣の部屋で眠る家族

瓦礫の傍らにあったあのぬいぐるみたちの行方を想う

始まりの唄が聴こえそうな予感がする

耳をそばだててじっとすること

今の自分に出来ることはそういったことだと思うから。


福島で見た虹のことを忘れない

あの日のことを忘れない

人は驚く程に忘れていくものだから
小さな意識の中でそれを「忘れない」と決めて歩く

いつかの夜明け
繰り返した夜
今ここに在る自分自身

石の上に
そして転がる石のように
 



Write by URANO TAKAHIRO.